二宮尊徳の偉業を伝える山門。桜川市・もみじの薬王寺
桜川市には紅葉が見事なお寺が数多くありますが、「もみじ寺」の別名を持つ、江戸時代開山の曛静山薬王寺(くんせいざんやくおうじ)もその一つ。境内では樹齢400年超のもみじを始め、それは見事な紅葉を楽しむことができます。
また、このお寺で是非ご覧頂きたいのが山門。この山門は、薪を背負った姿で有名な二宮尊徳が、江戸時代に水不足により疲弊した青木村(現在の桜川市青木地区)の復興のため、桜川に築いた「青木堰」で使われていた材木を用いて建てられています。
山門はお寺の入り口、通常はよく筋の通った良材を用いるのに対し、この山門の柱はよく見るとゴツゴツと荒々しく、また所々に穴が開いています。これは、青木堰として使われていた時の桟を通した穴だそう。力強いケヤキ材の山門と紅葉のコントラストが、尊徳の遺徳を後世に伝えています。
かつてはどこの学校にも設置されていた尊徳像ですが、実際の業績は置き去りにされたまま、戦前の道徳教育と結びついたイメージが強調され、次第に撤去され見かけることが少なくなってきました。
しかしその偉大な業績は、日本近代資本主義の父・渋沢栄一の他、パナソニックの創業者・松下幸之助、トヨタ自動車創始者の豊田佐吉ら、現在の日本を作り上げた多くの実業家に多大なる影響を与えたものなのです。
そちらについては、青木堰の記事で改めたいと思いますが、秋の澄んだ空の下、尊徳の遺徳と美しい紅葉に触れに、ぜひお出かけください。
曛静山薬王寺:
所在地:茨城県桜川市青木1375
紅葉の見頃:11月頃
※青木堰の記事はこちら→【今に伝わる報徳思想。桜川市・二宮尊徳の青木堰】
桜川市:
筑波山の北麓に位置する,山と里の景色豊かな桜川市には,茨城県内唯一の重要伝統的建造物群保存地区・真壁の街並みをはじめ,歴史を感じさせる風景が多く残されています。
その他の記事はこちら→【桜川市】