黒髪に込められた痛切な祈り。日先神社

右籾の日先神社には、束ねられた様々な長さの黒髪が、たくさん奉納されています。一見奇妙なこの供物は、かつての戦争時、母や妻が出征する息子や夫の無事を願い、切り落として捧げたものだそうです。

祭神であるタケミカヅチノミコトは名高い軍神ですが、祈りをささげた女性たちは、家族が英雄になるのを望んだのではなく、ひたすらに無事に戻ってくることだけを願っていたのでしょう。髪は女の命と言われた時代、どんな思いで奉納したかと考えると、ただただ胸のつまる思いがします。

平成の世は、激しいうねりの時代でありつつも、戦争を経験しないで済んだ、稀有な世でもありました。どうか次の時代も、子どもたちが戦禍に巻き込まれることが無いよう、祈らずにはいられません。

 
日先神社:土浦市右籾2200

常陽新聞2015年11月25日号「まちかどレトロ探訪 土浦画報 vol.16」に収録されました。

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