
黒髪に込められた痛切な祈り。日先神社
右籾の日先神社には、束ねられた様々な長さの黒髪が、たくさん奉納されています。一見奇妙なこの供物は、かつての戦争時、母や妻が出征する息子や夫の無事を願い、切り落として捧げたものだそうです。
祭神であるタケミカヅチノミコトは名高い軍神ですが、祈りをささげた女性たちは、家族が英雄になるのを望んだのではなく、ひたすらに無事に戻ってくることだけを願っていたのでしょう。髪は女の命と言われた時代、どんな思いで奉納したかと考えると、ただただ胸のつまる思いがします。
平成の世は、激しいうねりの時代でありつつも、戦争を経験しないで済んだ、稀有な世でもありました。どうか次の時代も、子どもたちが戦禍に巻き込まれることが無いよう、祈らずにはいられません。
日先神社:土浦市右籾2200