新しい人生をトータルサポート。つくば市・幸和義肢研究所

【NEWSつくば連載 日本一の湖のほとりにある街の話vol.09】
様々な別れと出会い、新しい人生がスタートする季節、春。今回は、義手や義足といった福祉機器により、多くの人達の新たな一歩をサポートする企業、つくば市の「株式会社幸和義肢研究所」をご紹介します。

2021年に創業100年を迎え、義手や義足・車椅子等の福祉器具の製造のみならず、ユーザーの生活を多岐に渡りサポートする事業内容について、同社の三浦さん・志賀さんにお話を伺いました。

その創業は1921年、現在の常総市でメスやハサミなどの医療器具の販売からスタートしました。その後1983年、社名を「株式会社幸和義肢研究所」と改め、義肢・装具の製造販売を本格的に開始。現在製造する品目は、義手や義足と言った義肢・コルセットなどの装具・車椅子や靴の悩みを解消するインソールなど、実に多彩です。

同社の心臓部ともいえる製作室には、義手や義足等の元になる様々な素材が並び、ユーザー一人一人で異なる身体形状に合わせた義肢装具を製作しています。一点ごとに微妙に異なる形状、要求される性能を満たすため、熟練の手作業により製作・調整がなされていますが、さらなる精度向上のため、ユーザーの身体形状を3Dデジタル化し、切削機で身体形状を再現する最新機材「CADCAM」を導入するなど、品質向上に余念がありません。

また、アフターメンテナンスについての態勢も万全。常に体をサポートし続けるこれらの器具は、強い負荷がかかるため、数か月ごとの定期的なメンテンスが欠かせません。ところが通常、義肢装具は病院のカルテに基づき製作されるため、ユーザーは転院・転居などにより、義肢装具の来歴が分からない「装具難民」となってしまうことが少なくないのだそうです。

こうした状況を解消するため、装具の状態を常に把握できるよう、製品状態を管理する『義肢QRコード「ぽーさぽーとシステム」』を開発、製品に添付しているとのこと。さらに約2カ月毎にメンテナンス会を開催し、気軽にメンテナンスに訪れることができる機会を提供しています。

そして、同社の事業理念で最も特筆すべきなのが、ユーザーの生活を「トータルサポート」するという姿勢が貫かれている点。その一環として、障がい者就労支援継続支援B型「ワーク・イノベーション・センター(WIC)」を2016年に設立しています。

これは、それまでは装具による生活のサポートに留まり、ユーザーの就労までサポートできていなかった、という想いから設立された施設で、既存の建物を改修している場合が多く使いづらい面がある他就労施設と異なり、設計に十分余裕をとったユニバーサルデザインとなっています。その広さは茨城県内の同種施設では随一とのことで、そのゆとりと細部まで配慮がなされた室内空間に驚きました。

こうした多岐に渡る取組みを紹介するため、同社では定期的に福祉機器展を開催し、装具の紹介や、業界の啓蒙活動を行っています。開催の際はぜひご覧になり、福祉にかける真摯な想いをご体感ください!

本記事は、NEWSつくばにて連載のコラム「日本一の湖のほとりにある街の話」第9回記事です。
元記事はこちら→《つくば市の幸和義肢研究所 《日本一の湖のほとりにある街の話》9》

株式会社幸和義肢研究所:
所在地:茨城県つくば市大白硲341-1
公式HP→【株式会社幸和義肢研究所】

つくば市:
万葉の昔より信仰の対象とされてきた名峰・筑波山の南麓に位置し,数多くの研究機関が集積する科学の街・つくば市。研究所をまわる夏休みのサイエンスツアーも大人気です。
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