身妊りし女をまもる子安神。かすみがうら市・子安神社

現代は、多様な生き方が許容される時代。婚姻や子供の有無などについて、一昔前の「結婚し子供をなして一人前」というような同調圧力は、ずいぶんと弱まったように思います。そして、そうした多様な生き方ができる社会は、称揚されるべきものでしょう。

ですがそれを前提としても、女性だけができる・女性にしかできない、十月十日の間自らの中で新しい命を育み、そして産み出すという行為は、この上なく尊く、素晴らしいことであると、男性である私は感じます。

各地の寺社仏閣のご利益において、子授かり・安産は非常に多いですが、女性にとって人生最大の体験と、そうした尊さを表しての事でしょう。霞ケ浦・筑波山周辺で特に安産の信仰が篤い場所として、桜川市の天引観音、鉾田市の塔ヶ崎十一面観音などがありますが、かすみがうら市東野寺の「子安神社」もその一つ。

ご祭神は、初代天皇である神武天皇の曾祖母とされる木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)。その名の通りの可憐な美しさを天照大神の孫、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に見初められ、三柱の神をもうけますが、その出産にあたっては大変な苦労があったそうです。

さて、椿が生えた静謐な参道を通ると、奥にひそやかに本殿がたたずんでいます。龍や獅子の彫り物も見事な本殿の足元は深緑の苔に覆われ、えもいわれぬ神聖さを感じる空間で、信心深くないこの身でも自然と首を垂れてしまう雰囲気。

社務所では安産関連の様々なお守りを頂くことができますが、椿の花があしらわれた安産お守りはなんともかわいらしく、心が和みます。裏側にはマタニティーマークが刺繍されているところも素敵です。

お守りとともにいただけるパンフレットには、神社の来歴とともに「身妊りし 女をまもる 子安神 生まるる和子も いと健やかに」の歌が。出産は、その喜びの大きさがゆえに、時に不安もともなうものと思います。どうか木花開耶姫命のご加護により、安産祈願をなさるどなたも、安らかで健やかなご出産が遂げられることを願ってやみません。

子安神社:
所在地:茨城県かすみがうら市東野寺252
公式HP→【子安神社】
※同じく安産子育に名高い、すぐ近くの「胎安神社」の記事もあわせてどうぞ→【胎安神社】

かすみがうら市:
霞ヶ浦西浦の北岸に長く伸び、古くから農業漁業がさかんなほか、茨城県内有数の果物産地でもあります。明治期に同市出身の折本良平が開発した帆引き船は霞ヶ浦の風物詩。
その他の記事はこちら→【かすみがうら市】

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