その街角に、人生の縮図を想う。土浦市・桜町

北関東屈指の風俗街として知られる茨城県土浦市桜町。その成り立ちは明治時代の花街の頃にさかのぼる。さらに大正時代、霞ヶ浦海軍航空隊の慰労にあたり、料亭や飲食店、カフェー(※)等が集められたことでその基盤が固められた。

現代に至るまで歓楽街として大いに栄えるも、2020年の新型コロナウイルスの流行により、その売り上げは大きく減少。だが、お店の前に立つ男性に話を聞くと、2022年現在、客足は戻ってきているそうだ。

こうした事象について、人によっては不埒と眉をひそめる向きがあるかもしれない。だが、そこで糧を得る人があり、慰めや救いを得る人がいるのも事実。埒の外にもまた、人生の妙味は転がっている。

朝、街区を横切って学び舎へ向かう学生。夜、熱気のこもった人の流れと、その熱を残した早朝の男女の喧騒。そして昼、路地裏で静かに猫と戯れる老女。

クリムトの「女の三世代」を感じさせるようなそれらの光景は、なんだか人生の縮図のようで。だから、色街は味わい深い。

※カフェー:現代における、コーヒーを主たる飲食物として提供する店とは異なり、女給のサービスを売り物とする風俗営業としての店舗。建築物としても独特の意匠をこらしたものが多く、昭和初期には谷崎潤一郎の「痴人の愛」をはじめ、様々な文学の舞台としても登場した。

土浦市:
霞ヶ浦西浦の西端に位置し,江戸の頃より茨城県南の要所として栄えた。ナショナルサイクルルート「つくば霞ヶ浦リンリンロード」の拠点となっている。
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