古来からの貴重な恵み。行方市・食用養殖鯉

【NEWSつくば連載 日本一の湖のほとりにある街の話vol.07】
古来より霞ケ浦とかかわりの深い魚・鯉。湖周辺の遺跡からは縄文の頃より食べられていた形跡が見つかっており、近年まで滋養に富む食べ物として、妊婦さんが出産後の肥立ちにあたり、体力回復のため食べていたそうです。現在でもこの霞ヶ浦一帯は、食用養殖鯉の出荷量日本一の一大産地となっています。

そんな中でも一大拠点の一つが行方市の手賀地区。航空地図で一帯を見ると水田とともに多数の養殖池が並び、独特の景観となっているのが分かります。今回は手賀地区で35年に渡り鯉の養殖を営んできた、霞ヶ浦北浦小割式養殖漁業協同組合代表の理崎茂男さんにお話を伺いました。

養殖の流れは3つの段階に分かれており、まず陸上の水田のような「陸(おか)いけす」で4~5ヵ月ほど稚魚を育て、その後霞ヶ浦の湖面内のいけす「網いけす」に移します。縦横各5mに区切られたいけすを多数並べたこの養殖方法は「小割(こわり)式」と呼ばれ、ここで十分大きくなるまで2~3年ほどかけて育てられます。そして最後の仕上げに、きれいな地下水が満たされた陸上の「締(しめ)いけす」に移し、内臓をきれいにし身の旨味を引き出すのだそうです。

イラストは、締いけすから鯉を網ですくいあげ、大きさごとに選別して出荷用の車の水槽に移しているところですが、この手並みが実に鮮やか。鮮度を落とさないよう、長年の経験で素早く選別するさまは実に見事です。

さて、そんな鯉の出荷量日本一を誇る霞ヶ浦ですが、2003年に養殖業を揺るがす一大事件が起こりました。それが鯉の病気「鯉ヘルペス」の流行。これにより、一時鯉の生産は完全に停止し、廃業する生産者も現れました。

この苦境に対し、理崎さんはいけす内の鯉の過密を防ぎ、エサのやりすぎを避けるなどの対策を行い、長年の経験をもとに鯉の様子をよりこまめに確認し、常に元気な状態を保つことで乗り切ったそうです。

現在、取引としては活魚での出荷が多いそうですが、息子さんが手掛ける加工場「鯉丸水産」で、煮つけをはじめとする加工品も生産しているとのこと。また近年は、鯉を高級魚として重用する中国との取引も増えてきているそうです。

最後におすすめの食べ方をうかがうと、冬のこの季節は脂ものって煮つけに最適で、通年では洗いがおすすめとのこと。霞ヶ浦大橋たもとの「道の駅たまつくり」ほか、近隣の道の駅などでの購入が可能です。霞ヶ浦に古来より根差す豊かな味わいを、ぜひお楽しみください。

本記事は、NEWSつくばにて連載のコラム「日本一の湖のほとりにある街の話」第7回記事です。
元記事はこちら→行方市でコイを養殖《日本一の湖のほとりにある街の話》7

行方市:
霞ヶ浦西浦と北浦に面する二湖のまち,行方市。豊かな水産・農業資源を背景に古代より栄えました。その歴史に根差した,ユニークな祭礼が数多く残っています。
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